会長挨拶
渉外司法書士協会のスタートは、1987年9月、当協会の名誉会長である大貫正男会員が東京、埼玉、神奈川の青年司法書士協議会のメンバー14、5名を集め、当時日本ロッシュ株式会社の法務部長でおられた石田佳治先生を顧問としてお迎えし、東京・八重洲ホテルで開催した「法律英語実務研究会」という法律英語の勉強会でした。大貫会員は、後に当協会の年報において「Affidavit、Power of Attorney、Acknowledgement等の英文がとても新鮮に感じられた。」と残しましたが、我々司法書士にとって、まさに"未知なる分野への新たな挑戦"であったと言えます。
2年後の1989年6月には「渉外司法書士協会」と名称を変更、設立5年目となる1991年には、東京御茶ノ水・損保会館において、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、カナダ等のAttorney at Law、Solicitorをお招きし、200余りの司法書士、弁護士、会社法務関係者等が参加した「世界の法律家たちは~法廷からオフィスへ~」というシンポジウムを開催し、さらに1997年のアルゼンチン研修旅行を皮切りに、メキシコ、パラグアイ、ブラジル等で毎年のように「日系人のための無料法律相談会」を開催しました。
こうした先輩会員の先進的、公益的な活動により築かれた確固たる礎の上に、設立15年目の2001年11月には、特定非営利活動法人(NPO)として法人格を取得し、地方自治体からの海外移民の相続人探索・調査業務等の受託事業も開始しました。
現在、会員数は329名となり、英語を使って渉外業務に取り組みたいと考える会員のために、業務に特化した英会話を学べる「英会話ゼミ」など新たな事業も行っております。英会話ゼミ以外にも渉外登記実務入門講座など様々な活動を精力的に行い、さらなる進化を遂げつつあります。
最近は訪日外国人がSNS等を通じて日本各地の魅力を発信しており、海外の方からみても日本は暮らしやすく良い国であることが伝わってきます。このような情勢を考えますと、これからも日本に関心をもつ外国人、外国法人等は増えていくことが予想され、渉外司法書士協会の役割がより一層求められていくのではないでしょうか。今後は会員一人一人がスキルアップをし、これに応えていく必要があると考えます。
渉外業務を通して世界の方々のお役に立てるよう、司法書士に限らず、より多くの皆様のご入会、ご参画をお待ちしております。
令和6年6月
NPO法人渉外司法書士協会 会長 井沢 力
特定非営利活動法人渉外司法書士協会定款 抜粋
第1章 総則
(名称)
第1条 この法人は、特定非営利活動法人渉外司法書士協会といい、英文では、International Shihoshoshi Association
という。
(事務所)
第2条 この法人は、主たる事務所を 東京都港区赤坂四丁目2番3号 ディアシティ赤坂・一ツ木館602 司法書士法人
ダイアリー内に置く。
第2章 目的及び事業
(目的)
第3条 この法人は、渉外法務、国際法務の諸問題(以下、渉外事件という。)につき調査、研究、情報交換を行い、国民
及び外国人の権利擁護を図ることを目的とする。
(特定非営利活動の種類)
第4条 この法人は、前条の目的を達成するため、次に掲げる種類の特定非営利活動を行う。
(1) 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
(2) 国際協力の活動
(3) 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
(事業)
第5条 この法人は、第3条の目的を達成するため、次の特定非営利活動に係る事業を行う。
(1) 在日外国人並びに在外日系人及び日本人を対象とする国内外における無料法律相談会の実施
(2) 渉外事件に関するシンポジュウム、公開セミナー及び研修会の開催
(3) 渉外事件に関するシンポジュウム、公開セミナー及び研修会への講師の派遣
(4) 渉外事件に関する調査、研究及び発表
(5) 国内外の法律関係者との交流活動
(6) 会報の発行
(7) 渉外事件に関する書籍、パンフレット、年報、資料等の出版及び頒布
(8) 渉外事件に関する通訳及び翻訳
(9) 渉外事件の調査、研究、研修及び情報交換のための各国法律家で組織する団体の設立及び運営
(10) 各国法律家の渉外実務能力の向上を目指し、講師及び研修生の相互派遣